6時半に起床。朝食をとろうと思ってテラスに上がったけれど、まだ準備の途中だった。仕方がないので30分程待っていると、丁度太陽が昇り、朝日のやわらかい光の中で食べることができた。まだ他に誰もいなかったこともあって、少し贅沢な気分。コーヒーは前日と同じくブラックで、最高だった。
7時半頃にホテルを出て、徒歩圏内のマーケットで開かれている朝市に足を運んだ。地元の人で溢れかえり大盛況。観光客が全くおらず、好奇の目で見られて照れ臭かった。朝市の規模はとても大きくて、きちんと設置された店だけでなく周囲の民家付近の路上まで広がっている。野菜、果物、肉、魚などの生鮮食料品がどの店でも所狭しと並べられ、物色する人や懸命に売ろうとする人たちで大変な賑わいを見せている。印象的だったのは肉、魚の売り場。とても不衛生で閉口してしまった。魚は泥水で洗われているようで異臭を放っているし、肉は内臓類が露骨に木机の上に置かれていた。火を通すから腹痛は起こさないにせよ、もう少し気を遣えばいいのにと思う。いずれにせよ、地元の人々の生活観を肌で感じることができてとても興味深く、2時間近くも見て回った。
この日は夕方にバガンからヤンゴンに飛ぶのだけれど、それまでの時間、残りの有名な寺院、パゴダを見ようと思って10時頃にチェックアウトを済ませて荷物だけ置き、ホテルを出発。この日も自転車をレンタルした。昨日訪れた場所は通過してひたすら目的地を目指し、3つの寺院、パゴダを順番に見て回った。1.ダヤマンヂー寺院、2.スラマニ寺院、3.ダマヤッズィカパゴダ、3つとも規模が大きくて立派。1つ1つの距離がとても離れていて移動は大変だったけれど、途中で地元の人々とすれ違ったり、畑を耕している人を見たり、牛の群れを見つけたり、なかなか楽しかった。バガンで最後に見ることになったパゴダ、ダマヤッズィカパゴダは上に登ることができたのでテラスまで上がり、もう一度しっかりとバガンの風景を目に焼き付けようと思って、長時間遠くを眺めていた。何度見ても素晴らしい。
昼食はニァゥンウーの日本食レストラン「富士」で食べた。このレストランに関しては少々噂を耳にしていた。オーナ兼シェフは50代の日本人男性。20歳以上年下のミャンマー人女性と結婚して、この地でレストランをオープンしたとのことだ。自分がそのような人生を送ることはなかなか想像できないけれど、色々な人がいるものだと感心した。どうやら噂は事実のようで、ざる蕎麦を注文すると、中年の日本人男性が現れて厨房に消えていき、家族と思われる女性や子供もいた。蕎麦はなかなか美味しい。それにしても、今回は1週間限定の旅なのに、既に日本食が恋しくなってしまった。食物への耐性が明らかに以前より低下している。僕も年齢を重ねてきた証拠だろうか。
食事を終えると、空港に行くまでの時間を土産物探しに当てようと思い朝訪れたマーケットに再び向かった。朝との変貌振りにとても驚いた。あれだけ賑わっていたのに人影がほとんどない。設置されている店はそのままだったけれど、路地裏まで広がっていた路上の店は完全に姿を消していた。当然といえば当然だけれど、ミャンマーでも朝市のシステムは日本と同様らしい。ところで、土産物探しには相当苦労した。ミャンマーはともて貧しい国、いわゆる見栄えのいい土産物が何一つない。特産の食物もない。マーケットを物色していると売り子から何度も声を掛けられたけれど、買って相手に喜ばれそうな物が見当たらない。ロンヂーは日本では着ることができないし、漆塗りの小物入れも誰にも喜ばれなさそう。結局、会社用にはシンガポールでチョコレートを買うことにして、個人用には旧イギリス植民地であることから味に定評があるという地元産のウィスキー、ラム酒を買うことにした。
16時30分頃に荷物を置いていたホテルを出発、町外れの空港までは馬車で向かった。小回りがきくので僕は2日とも観光は自転車をレンタルして回ったけれど、実はバガンで最もポピュラーな観光客の足は馬車。1日チャーターしても7,000チャット(=770円)程度と値段も安いので、疲れず、その上風情があって人気なのだろう。空港までは約30分。恐らくこれだけ長時間馬車に乗ったのは初の体験だったと思う。味があってなかなか良かった。
空港は、当然ながらヤンゴン国際空港に輪を掛けて簡素。この国の貧しさを再認識することができた。18時過ぎにマンダレー航空の飛行機に乗って、バガンに別れを告げた。40人乗りととても小さいプロペラ航空機で少し不安になったけれど、約45分、あっという間にヤンゴンに到着した。
ヤンゴンでは、前日夕食を一緒にした居山さんと僕が数日前に宿泊した「ダディーズ・ホーム・ホテル」で待ち合わせをしていたので、空港から一目散に向かった。この日も夕食を一緒にしようと約束していたのだ。居山さんは既に待っていて、僕がチェックインを済ませて荷物を置くと、すぐに出発した。この時、1人の日本人が一緒に来ることになった。徳山和宏さん、早稲田大学の4年生。2004年10月頃から旅に出ているとのことで、年末、年始も海外で迎えている。4月からの就職を控えて最後の長期旅行ということだ。金髪、色黒の風貌からはとても日本を代表する有名大学の学生には見えなかったけれど、気さくでとても素敵な人だった。長期旅行に出ているバックパッカーにはいわゆる変人が多いのだけれど、誠実な印象。3人で目指した先は、同じく僕が数日前に訪れたパブ通り。3人で旅行話に花を咲かせながら、ビールを飲み続けた。ビールを飲んだ後も、数日前と同様、ディスコに行って地元の女の子たちに囲まれながら引き続き飲み続けた。深夜にホテルに戻った頃には、かなりいい気分になっていた。
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